覚醒せよ。

INTRODUCTION

アクション少年漫画のルーツを築いた
車田正美原作の伝説的漫画「聖闘士星矢」を、
世界トップクリエイターがハリウッドで完全リブート。
Netflix世界視聴率No.1となった「ウィッチャー」の
トメック・バギンスキーがメガホンをとり、
ハリウッド初主演で新田真剣佑が魅せる研ぎ澄まされた
アクションは
『シャン・チー/テン・リングスの伝説』の
アンディ・チャンが手がける。
さらに『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』
などの代表作をもつDNEGがVFXを担当するなど、
「聖闘士星矢」を愛する世界中の精鋭たちが
小宇宙コスモを燃やし、新たな息吹を注ぎ込む!

覚醒せよ。

STORY

自らの身体に“小宇宙コスモ”という力が
宿っていることを知らない若者、星矢。
地下格闘技でその日暮らしをしながら
生き別れた姉を探していた彼は、
ある日闘いの最中にその“小宇宙”を発したことで
謎の集団から狙われることに。
彼らは強い“小宇宙”の持ち主と、
シエナと言う女性の命を狙っていた。

ペガサスの星のもとに生まれた星矢の使命は
“知恵”と“戦い”の女神アテナの生まれ変わりである
シエナを守り、世界を救うこと。
自らの秘めた力に気づいた時、
彼はこの世界を救う“聖闘士セイント”となる。

CHARACTER

  • 星矢 [新田真剣佑]

     

    幼い頃に姉と生き別れた青年。
    姉を捜しながら地下格闘技で生計を立てていたが、アルマン・キドの登場によって自身の運命を知る。女神アテナの生まれ変わりであるシエナを守るため、聖闘士の道を歩み始める。
    聖闘士としては未熟で、戦い方も、小宇宙コスモの制御もままならないが、どんな苦境であっても決して諦めない不屈の精神を持つ。

  • アルマン・キド [ショーン・ビーン]

    CV 磯部勉

    星矢の前に突然現れた謎の男。女神アテナの生まれ変わりであるシエナと出会い、彼女を守るため、娘同然に育ててきた。妻だったグラードと袂を分かった後もシエナを守るために行動しており、執事マイロックと共に屋敷で彼女を保護している。どんな状況にも怖じけない毅然とした人物で、シエナを守るためであれば手段を厭わない覚悟がある。

  • ヴァンダー・グラード [ファムケ・ヤンセン]

    CV 井上喜久子

    アルマンの元妻。シエナを守り抜いた黄金聖闘士ゴールドセイント聖衣クロスから超古代技術を解析することに成功。かつてはアルマンと共にシエナを育ててきたが、ある事故が原因で両腕を失い、小宇宙がないと生きていけない身体になってしまう。それ以来、アルマンと袂を分ち、アテナの再来は世界滅亡の兆しと理解する。ギリシア神の脅威から人類を守るため、強力な武装兵団を作り、娘同然だったシエナの抹殺を誓う。

  • シエナ [マディソン・アイズマン]

    CV 潘めぐみ

    邪悪な力と戦う聖闘士たちを率いる女神アテナの生まれ変わり。誕生とともに何者かに命を狙われるが、射手座サジタリアスの黄金聖闘士によって救われた。アルマンとグラードに保護され、ふたりの娘として育てられる。自身の内側に強大な神のパワーを秘めており、その力が発動すると自分でも制御することができなくなってしまう。その力が起こす世界滅亡の光景を毎夜夢に見るが、それは未来の現実か?それとも?

  • マイロック [マーク・ダカスコス]

    CV 咲野俊介

    アルマンの執事。執事として行動するだけでなく銃撃、接近格闘、ドライビングテクニックに長けており、どんな状況であっても決して冷静さを失わない頼れる人物。危機的な状況であってもシエナや星矢を見守り、アルマンとは、主人と執事の関係を超えた深い友情を築いている。

  • ネロ [ディエゴ・ティノコ]

    CV 浪川大輔

    グラードと行動を共にする男。冷酷で圧倒的な戦闘能力を誇るが、なぜグラードに加担しているのか不明。鳳凰星座フェニックスの紋様の入ったペンダントを所持している。グラードと共にシエナの行方を追っているが、実はそれ以外の“目的”を秘めている。

  • カシオス [ニック・スタール]

    CV 小松史法

    地下格闘場を仕切っていた最強のストリート・ファイター。グラードの下で働き、力のある者を彼女の傭兵にリクルートしてきた。星矢への恨みをはらすため、グラードの実験に参加し、自らの肉体を暗黒聖闘士ブラックセイントへと改造。これまで以上のパワーを得て、星矢の前に立ちはだかる。

  • マリン

    CV 瀬戸麻沙美

    星矢の前に現れた白銀聖闘士シルバーセイント。常に白銀のマスクをつけており、その素顔は窺い知れないが、絶大な戦闘能力とスピード、パワーを誇る。自らの小宇宙が燃焼すると背後に鷲星座イーグルが出現する。諦めずに特訓に立ち向かう星矢を厳しく指導し、真の聖闘士へと導いていく。

CAST&STAFF

CAST

  • 新田真剣佑[星矢]

    1996年、アメリカ生まれ。名優・千葉真一の長男として誕生し、幼少期から空手や器械体操などを習得。2005年に俳優デビューを飾り、アメリカを舞台に俳優として活動する。その後、日本でも活動を始め、2016年に映画『ちはやふる‐上の句‐/‐下の句‐』の演技で第40回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。『パシフィック・リム:アップライジング』(18)や『るろうに剣心 最終章 The Final』(21)など洋邦超大作に数多く出演。今年配信スタートのNetflixドラマ「ONE PIECE」ではロロノア・ゾロ役を演じることも決定している。その他の出演作に『劇場版 コード・ブルー ‐ドクターヘリ緊急救命‐』(18)、『ブレイブ ‐群青戦記‐』(21)など。

  • ショーン・ビーン[アルマン・キド]

    演劇、ラジオ、テレビ、映画の分野で多くの功績を残し、舞台でキャリアをスタート。『007/ゴールデンアイ』(95)で演じた強烈な敵役や、彼自身数々の賞に輝いた『ロード・オブ・ザ・リング』(01)でのボロミア役、「ゲーム・オブ・スローンズ」(11)のエダード 'ネッド' スターク役などで知られる。そのほかの主な出演作は『トロイ』(04)や『ナショナル・トレジャー』(04)、テレビシリーズの「フランケンシュタイン・クロニクル」(17)、「スノーピアサー」(20〜22)など。

  • ファムケ・ヤンセン[グラード]

    『007/ゴールデンアイ』(95)のボンドガールや、2000年に公開された『X‐MEN』のジーン・グレイ役を演じ、シリーズ化され大人気に。また映画『96時間』シリーズ(09・13・15)でリーアム・ニーソンの妻役を演じ広く知られる。2011年には、ビル・プルマンとミラ・ジョヴォヴィッチが主演した長編映画『リセット』で脚本と監督を務め、第64回カンヌ国際映画祭で上映された。主な出演作にNetf lixシリーズ「ボクらを見る目」(19)、BBCの「ザ・キャプチャー 歪められた真実」(19)などがある。

  • マディソン・アイズマン[シエナ]

    2017年公開のドウェイン・ジョンソンと共演した『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』でメインキャストに抜擢され注目を集める。19年には大ヒットホラー映画の第3弾『アナベル 死霊博物館』、そして『ジュマンジ/ネクスト・レベル』と出演が続き、ディズニープラスの『クラウズ〜雲の彼方へ〜』(20)やTVリメイク版「ラストサマー」(21)、2022年の『アメリカン・ホラー・ストーリー』のアンソロジー・スピンオフ・エピソードなどで主人公を演じている。

  • マーク・ダカスコス[マイロック]

    これまでに40以上の劇場映画に出演し、TVシリーズ「クロウ 天国への階段」(98〜99)ではエリック・ドレイブン役、大ヒットを記録したCBSシリーズ「HAWAII FIVE‐O」(10〜20)ではウォー・ファットを、そして彼の魅力を最大限に見せつけたキアヌ・リーブスと共演の『ジョン・ウィック:パラベラム』(19)では、暗殺者ゼロ役で激しくも美しいアクションを披露し、世界へ印象付けた。そのほか主な出演作は『ジェヴォーダンの獣』(02)、『ブラック・ダイヤモンド』(03)など。

  • ディエゴ・ティノコ[ネロ]

    MTVの大ヒットドラマ「ティーン・ウルフ」(11〜17)でドラマ初出演、その後Netflixシリーズ「マイ・ブロック」(18)で初主演を飾る。同作でティーンチョイスアワードのチョイスサマーTV俳優賞にノミネートされた。その後、繊細な感情が入り混じる現代版ロミオとジュリエットというべき映画として高評価を受けた『R#J』(21・未)では印象的なティボルト役を演じ、同作はサンダンス映画祭のコンペティション部門に選出されている。

  • ニック・スタール[カシオス]

    2003年、大ヒットシリーズの3作目『ターミネーター3』で人類の命運を握る少年ジョン・コナーを演じ、世界中から大きな注目を集める。主な代表作に、トッド・フィールド監督の『イン・ザ・ベッドルーム』(01)、ロバート・ロドリゲス監督の『シン・シティ』(05)のほか、『ギプスの女』(08・未)、『たった一人のあなたのために』(09・未)、TVシリーズではHBOシリーズ「カーニバル」(03〜05)、「フィアー・ザ・ウォーキング・デッド」(21)など。

STAFF

  • [監督] トメック・バギンスキー

    1976年、ポーランド生まれ。1998年に初の映画『Rain』を手がけ、短編デビュー作『The Cathedral』(02)がアカデミー賞®短編アニメーション賞にノミネートされ、SIGGRAPH2002においては最優秀短編アニメ賞を受賞。2007年にはビデオゲーム「ウィッチャー」のオープニングとエンディング映像を担当。本作が2019年にNetflixで実写化された際には製作総指揮を務めた。Netflixで配信中のSFスリラーシリーズ「イントゥ・ザ・ナイト」でも製作総指揮を担当している。

  • [脚本] ジョシュ・キャンベル

    2014年に脚本家デビュー。2016年に『10 クローバーフィールド・レーン』の脚本を執筆し高評価を獲得。同作で組んでいたマット・ストゥーケンと再タッグを組み『元カレとツイラクだけは絶対に避けたい件』(20)や、『Notorious Nick(原題)』(21)などの脚本を手がける。レニー・ハーリン監督の新作『Carrier(原題)』やタイリース・ギブソン出演の『Desert Eagle』などのプロジェクトが進行中。

  • [脚本] マット・ストゥーケン

    映画製作者として『ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝』(08)や『G.I.ジョー』(09)などの作品に携わった後、ジョシュ・キャンベルらと『10 クローバーフィールド・レーン』(16)、『元カレとツイラクだけは絶対に避けたい件』(20)の脚本を執筆。ロン・パールマン、ケイト・ボスワース出演の『Carrier(原題)』や2人の国境警備員が麻薬カルテルに立ち向かうアクション大作『Desert Eagle』などの脚本も手がける予定。

  • [脚本] キール・マーレイ

    ピクサー・アニメーション・スタジオのストーリー部門で『カールじいさんの空飛ぶ家』(09)、『インサイド・ヘッド』(15)などの作品に携わり、『カーズ』(06)、『カーズ/クロスロード』(17)では脚本を手がける。2021年には『ラーヤと龍の王国』のストーリー制作、翌年には『ラック〜幸運をさがす旅〜』の脚本を手がけた。そのほか実写短編作品『Green Thumb』(14)、『Kilo』(10)では監督も務めている。

  • [原作] 車田正美

    1953年、東京都出身。若い頃に漫画「男一匹ガキ大将」を読み、漫画家を志す。アシスタントをしながら研鑽を重ね、1974年に週刊少年ジャンプにて「スケ番あらし」でデビュー。その後、「リングにかけろ」「風魔の小次郎」「聖闘士星矢」などヒット作を次々に発表し、週刊少年ジャンプを代表する漫画家として知られるようになる。その人気は日本だけでなく海外にも広がっており、アニメーション化、舞台化される作品も多数。読者を驚かせる唯一無二のストーリーテリングが人気で、これまでに熱狂的なファンを多く生み出してきた。現在も「聖闘士星矢 NEXT DIMENSION 冥王神話」「風魔の小次郎外伝 飛鳥無明帖」など多くの連載を抱えており、最前線で活躍中。

  • [スタント・コーディネーター] アンディ・チャン

    香港出身。90年代後半にジャッキー・チェンのスタントチームに招かれ、『シャンハイ・ヌーン』(00)や『ラッシュアワー2』(01)などでスタントを務める。『コラテラル』(04)や『LOOPER/ルーパー』(12)などでスタントを務める一方、アクション指導としても活躍。マイケル・ベイ監督の『6アンダーグラウンド』(19)やマーベル・スタジオ作品『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(21)ではスタント&ファイト・コーディネーターを務めた。

  • [VFX] DNEG

    英国の映像制作会社。『ピッチブラック』(00)に始まり、『ミッション:インポッシブル2』(00)、『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(04)など超大作のVFXを次々に手がける。『インセプション』(10)、『インターステラー』(14)、『ブレードランナー 2049』(17)、『TENET テネット』(20)、『DUNE/デューン 砂の惑星』(21)などの作品でアカデミー賞®視覚効果賞を受賞している。

  • [主題歌] P!NK 「Courage」

    全世界トータル・アルバム・セールス6,000万枚超、シングル・セールス1億3,000万枚超のモンスターヒットを全世界で連発するグローバル・ポップ・アイコン。2019年、ハリウッドの“ウォーク・オブ・フェイム”にその名が刻まれ〈ハリウッド殿堂入り〉を果たし、同年グラミー賞では2部門ノミネート、さらに、英国最大級の音楽賞〈ブリット・アワード2019〉では、栄誉ある功労賞を“初のインターナショナル・アーティスト”として受賞という偉業を成し遂げる。さらに同年、日本では「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」の主題歌に「ソー・ホワット」が起用され話題をさらった。2023年2月には彼女の9作目のアルバム『トラストフォール』をリリースし、今なおポップ・シーンの第一線で踊り、魅せ続けている。

WHAT'S SAINT SEIYA

車田正美原作「聖闘士星矢」の連載が週刊少年ジャンプで始まったのは1985年12月。開始時に同じ号に掲載されていたのは「ドラゴンボール」「北斗の拳」「キン肉マン」「キャプテン翼」「シティハンター」「魁!!男塾」……80年代ジャンプ黄金期の“激戦区”の中、本作はスタートした。

「聖闘士星矢」は、主人公・星矢をはじめとする仲間たちが、次々に現れる敵に立ち向かう当時のジャンプの王道=バトル漫画でありながら、「リングにかけろ」などでファンの支持を集めた車田正美の超熱血キャラクターを踏襲し、ギリシア神話をモチーフに持ち込むという、当時の少年漫画では異色の世界観を打ちだした。最初からプラモデル化、玩具化を狙っていたかのような分解・変形の要素を取り入れ、防具・聖衣クロスのデザインの魅力、そして何よりも次から次へと出現する予想外の展開とストーリー運びの妙が読者のハートを捉え、瞬く間に人気を博した。

連載開始翌年の秋には早くもテレビアニメーションがスタート。聖衣を再現したフィギュア「聖闘士聖衣大系」は漫画やアニメーションのファンだけでなく、全国の男児にまで人気が広がり、1987年度の男子玩具最大のヒットを記録した。さらにゲームや関連商品も数多くリリースされ、巨大な市場を形成。当時のジャンプは前述のヒットタイトルがしのぎを削る状態だったが、「星矢」のヒットは別格であったと語られている。

本作ヒットの最大のポイントは、漫画の人気と、映像化&玩具化などのメディアミックスが成功しただけでなく、男女ともに愛される作品になったことだろう。次から次に難敵が出現し、内なるエネルギー“小宇宙コスモ”を燃やす主人公たちの激闘はジャンプのメイン読者層である“少年”たちから絶大な支持を得たが、同時にギリシア神話をモチーフにしたデザインや、星矢と共に戦う青銅聖闘ブロンズセイント士―星矢、紫龍、氷河、瞬、一輝―の友情やライバル関係のドラマが女性読者からも熱烈な支持を獲得。現在でもジャンプ作品は性別・年齢を越えた人気を集めているが、「聖闘士星矢」は“全方位的な人気”を獲得したジャンプ作品の嚆矢かもしれない。

原作漫画は1990年にひとまず完結。しかし、先のフィギュア「聖闘士聖衣大系」の発売は続き、アニメーションもOVA、映画と舞台を移しながら新作が登場。

「星矢」の人気は日本だけでなく海外にも広がっていった。テレビアニメーションは日本以外にも海外の80の国と地域で放送され、各地のファンから熱狂的な人気を集めた。ギリシア神話、星座をモチーフにしていた本作は国や文化を超える世界観を有しており、そこに日本のアニメーション技術と、不屈の精神を持つ主人公たちの戦い、友情が組み合わさった結果、“世界で唯一無二”の作品という地位を獲得したのだ。

ちなみに世界各地での「星矢」人気は現在もまったく衰える気配がない。いまも世界各地で熱心なコレクターが活動しており、先ごろ、ペルーの“星矢ファン”が20年に渡ってグッズを集め続け、“世界最大の「聖闘士星矢」グッズ収集家”としてギネス世界記録に認定された。ちなみに、それまで同タイトルを保持していたのはメキシコのファンだったという。日本で生まれた星矢の世界は海を越えて広がっているのだ。

世界各地には「聖闘士星矢」を観て育ち、多大な影響を受けてクリエイターになった映画監督、作家も多い。フランス出身の映画監督ルイ・レテリエは、幼少期から星矢ファンで、2010年の大ヒット作『タイタンの戦い』で本作にオマージュを捧げ、リーアム・ニーソン演じるゼウスがまるで“聖衣”のような甲冑姿で登場。『タイタンの戦い』の日本公開時には、車田正美が同作のためにポスターを描き下ろした。

また、本作は激闘を描く熱血ドラマでありながら、主人公の少年たちの繊細な感情や、傷つきながら壁を乗り越えていこうとする道のりを丁寧に描いていることも、長きに渡って新しいファンを獲得している理由のひとつだろう。劇中では星矢たちの前に次から次へと強敵が出現し、必然的にバトルも大規模なものになっていくが、本シリーズの戦いを左右するのは、自身の内なる力=小宇宙で、それは自分ではなく他人のために行使される時に最も力を発揮するという設定だ。結果として、小宇宙が燃え、爆発する時、そこには登場人物の葛藤が描かれ、恐れや恐怖を乗り越えるドラマが生まれ、自分ではなく誰かのために戦うことで友愛の物語が描き出される。シリーズが長期化してもバトルや強さが“インフレ化”することなく、ファンを魅了し続けているのは、熱い戦いの中にある“心の動き”が中心に据えられているからで、初の実写化となる『聖闘士星矢 The Beginning』でも星矢の葛藤や後悔、それを乗り越えていく過程がしっかりと描かれている。

また、本シリーズではそれまでの少年バトル漫画で優位的だった“マッチョイズム”的な世界を覆す設定・展開が全面的に描かれているのも興味深い。車田正美作品は熱い“男の世界”を描きながら、女性が物語の中で極めて重要な役割を担ってきた。「リングにかけろ」では、ボクサーの主人公・竜児を最初に特訓していたのはプロボクサーだった父ではなく、姉の菊で、弟を支え、導く。そして星矢もまた、女性聖闘士・魔鈴によって鍛えられ、導かれ、聖闘士への道を進んでいくのだ。単なる脇役や守られるヒロインではなく、強固な意志と強さを持った女性キャラクターの活躍は当時の“少年漫画”の世界では異色だったが、後続のコミックやアニメーションに与えた影響は大きく、幅広い層の読者を魅了し続けている大きな理由のひとつだ。

時が流れ、「星矢」を観て育った子どもたちが大人になり、新たな世代が登場した2000年代。再び、「星矢」をめぐる動きが活発になる。2006年には車田正美による完全新作「聖闘士星矢 NEXT DIMENSION 冥王神話」の連載がスタート。外伝的な派生作品の連載も次々に始まり、2014年にはシリーズ誕生25周年を記念した映画『聖闘士星矢 Legend of Sanctuary』が日本だけでなく世界各地で公開。2019年には本作を新たに3DCGで描くシリーズ「聖闘士星矢:Knights of the Zodiac」の配信がスタート。世界各地の様々なプラットフォームで配信され、シーズン2の配信も好評を集めている。

シリーズ開始から35年以上に渡って人気を集め続け、日本だけでなく世界中のファンと後続の作品に影響を与え続けている「聖闘士星矢」は、“ジャパニメーション”という言葉が登場するよりもずっと前から全世界で支持され続けた日本発の人気作だ。今回の実写映画化は“ついに実現した”プロジェクトと言っていいだろう。

© 車田正美

PRODUCTION NOTE

車田正美の漫画「聖闘士星矢」は1985年の連載開始直後から圧倒的な人気を集め、翌年にはテレビシリーズが開始。その後も幾度もアニメーション化され、ゲーム化、舞台化とその世界は広がっていったが、本シリーズを実写映画化することは、東映アニメーションにとって長年に渡って“夢のような話”だと思われてきた。

しかし、本作の人気は世界中に広がり、作品の影響を受けた子どもたちが大人になり、クリエイターとして活躍するようになると、本作のイメージを具現化したようなビジュアルや、オマージュを捧げた作品が登場。デジタル技術の飛躍的な進化により映像制作の環境が変化し、マーベル・スタジオやDCがヒーロー映画で成功をおさめるようになったことで、伝説のシリーズの実写映画化は夢から“現実のプロジェクト”へとその一歩を踏み出した。

しかし、本作は単に“日本の漫画を実写化”するのではなく、世界中に熱狂的なファンを持つ“伝説の作品”を実写化する巨大なプロジェクトだ。プロデューサー陣はハリウッドをはじめ、世界各地の映画制作、クリエイターと会い、作品について語り合い、本作の実写映画化を模索した。彼らはファンの作品への愛情に応えられるだけの映画にすることだけを目指して試行錯誤を重ね、その結果、10年以上の歳月が流れ、何十本もの脚本が書かれた。

そして、ついに東映アニメーションは自らが制作として実写映画化に関わることを決意する。作品を誰かに託すのではなく、「聖闘士星矢」を共に愛し、共に原作に敬意を持って実写映画化してくれる“仲間”を世界中から探すことにしたのだ。その後、彼らの前にトメック・バギンスキーが現れる。ポーランド出身のバギンスキーは、原作への理解が深く、VFX技術を駆使した映像づくりにも長けている。さらにNetflixで配信中の「ウィッチャー」シリーズに携わるなど大規模プロジェクトにいくつも関わってきた。製作陣は長い紆余曲折の末、ついに星矢を共に実写化できる監督を見つけたのだ。彼の参加以降、世界各地からシリーズを愛し、本作を観て育ったクリエイター、俳優たちが集まることになる。

バギンスキーはすぐに脚本の再構成に着手し、初の実写映画では星矢が聖闘士セイントになるまでの道のりと、彼の内面を描く方針を打ちだした。

「漫画やアニメーションのストーリーは、5人の聖闘士を中心に物語が展開されます。もちろん私たちも最初は5人の青銅聖闘士ブロンズセイントを登場させようと考えていました。しかし、2時間の映画の中で、すべてのキャラクターを輝かせ、本作を初めて観る人にその世界観を紹介するのは難しいと思うようになりました。2時間の映画というフォーマットに多すぎるストーリーを詰め込むと失敗しがちです。そこで私たちは最初の映画では、ひとりのキャラクター=星矢に焦点をあて、彼の物語をしっかりと描きたいと思ったのです。もちろん、将来的には他の聖闘士たちもスクリーンで一堂に会することになるでしょう」

さらに彼は登場人物の“内面”を描くことにもこだわって脚本を開発したという。

「本シリーズの核はギリシア神話から来ていますが、物語の舞台や時代が明確に描かれているわけではありません。我々の暮らす世界や時代と似ていると思いますが、本作を描く上で重要なのは時代や場所ではなく、登場人物の“感情”だと思います。原作の漫画を読むと、聖闘士たちの戦いが描かれていますが、それらはいつもキャラクターの感情的な背景に根差したもので、とてもユニークで美しいと思いました。ですから、本作ではアクション映画としては非常に珍しい方法でキャラクターの感情を掘り下げていこうとしたわけです」

「聖闘士星矢」においてキャラクターの内面を掘り下げることは、目には見えない“小宇宙コスモ”を表現する上で最も重要なことだ。そこで、彼らは脚本にさらに磨きをかけ、撮影の準備を進めながら、本作をつくる上で最も重要な作業に着手する。スクリーンで“小宇宙”を燃やすことのできる俳優を世界各地から探すことだ。

キャスティングも脚本開発や撮影準備と同様に、長い時間をかけて行われた。当初から監督と製作陣が決めていたのは、本作のキャストは国際的なものにすること、そして主人公の星矢を演じるのは日本人であることだった。

「日本人が主役であることは、当然のことでした」とバギンスキーは力説する。「この物語は日本で生まれたものであり、その起源に敬意を表したかったのです。もちろん、当初から国際的なキャスティングにしたいと思っていましたし、そこで生まれる多様性が、物語にさらなる価値をもたらすと信じていました。なぜなら、俳優たちはそれぞれの人生や背景の経験を演技に生かすことができるからです。そこで、私たちは世界中を回って、適切な人物を探しました」

コロナ禍によってキャスティング作業はさらに困難になったが、製作陣はリモート通話などを駆使して世界各地から最高のキャストを集めていった。その結果、ショーン・ビーン、ファムケ・ヤンセン、ニック・スタールといった名優から、マディソン・アイズマン、ディエゴ・ティノコといった注目の若手スターまで多様で国際的なキャストが揃った。そして、主人公の星矢役には、アメリカで生まれ、英語を母国語として扱う日本人、新田真剣佑に白羽の矢が立った。

バギンスキーは「真剣佑は最初に会った時から完璧な候補者だと思いました。他にも何人か名前があがっていましたが、星矢は真剣佑にしか演じさせたくないと思ったのです」と絶賛。真剣佑も彼との仕事を楽しんだようだ。

真剣佑は「トメック(・バギンスキー)と一緒に仕事をするのが本当に好きでした。彼はとても気さくな人で、大きな制作のプレッシャーやストレスがある中で、とても良い存在になってくれました。コミュニケーション能力が優れていて、私が役を理解し、発展させ、脚本全体を確認するために多くの時間を割いてくれたのです。その結果、撮影現場に入ると、彼の演出とシンクロしているように感じました」と語る。

幼少期から武術の訓練を積み、身体能力が高く、アメリカでの撮影経験もあり、演技での受賞歴も多い真剣佑は、星矢役に完璧な人物だった。彼は本作が“日本の漫画の実写化”であるのと同時に、世界的なプロジェクトであることにも大きな意義を感じているようだ。

「もちろん、アクションやアドベンチャーは大好きなので、観客の皆さんにはこの映画を愛してほしいと思っていますし、日系アメリカ人が素晴らしい役柄を演じていることも見てほしいです。星矢は深みがあるキャラクターなので、私自身とても演技がしやすいので、そこも見てもらえたらと思います。アジアン・アメリカンに才能があることを観客に示す機会であり、主役を演じても楽しさとワクワク感をもたらすことができることを是非見てほしいです。アジア系アメリカ人にこのような機会はあまりありません。この素晴らしい映画を作るために世界中を旅することは、私にとってエキサイティングなことでした」

そして、物語の重要なカギを握る女神アテナの生まれ変わりシエナ役には、『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』で注目を集めたマディソン・アイズマンが選ばれた。アメリカで生まれ育った彼女はそれまで「聖闘士星矢」に触れたことがなかったが、脚本を読み、役へのリサーチを進める中で「ファンが誇れるような最高の作品にしたいと思った」と語る。

「同時に、これまで「聖闘士星矢」を知らなかった人も一緒に作品の世界に飛び込んでもらえるようしたいと思いました。劇中のシエナの紫色の髪は、私がスタッフに無理を言ってお願いしたものです。監督やプロデューサーはできるだけリアルに見せたいのでコスプレのように見えるのは嫌だと言っていましたが、私は原作やアニメーションと同じ紫色の髪にすることにこだわりましたし、ヘア&メイクチームの力で見事に実現できたと思っています。ファンのみなさんに観ていただくのがとても楽しみです」

キャストの誰もが「聖闘士星矢」を愛し、その世界を体現しようと準備を重ねたのだ。

コロナ禍で多くの撮影所が閉鎖され、プロジェクトが停止、または中止になったが、本作は東京、ブダペスト、ロサンゼルスなど世界各地に散らばったチームが連携し、懸命に努力を重ねて撮影がスタートした。世界最高峰の映像制作会社DNEGを始めとする世界屈指のVFXスタジオ数社が参画し、最新の映像技術の数々が導入されることになった。だが、そんな最新映像を求める撮影の現場では、可能な限り“リアル”であることが優先された。

本作の撮影監督を務めたトマシュ・ナウミュクは振り返る。「この映画ではVFXが多用されていますし、監督もすべてのシーンで最新の技術を駆使する予定でした。ですから私は“撮影の現場では出来るかぎりアナログな手法でつくろう”と提案したんです。自然光をいかした撮影を目指しましたし、VFXが多用されるアクションシーンであっても、撮影と照明は可能な限りアナログ式でやったのです」

実際に見て、触れることのできるロケで、キャスト・スタッフが一丸となって撮影に臨むことで本作には良い空気感が生まれたようだ。真剣佑は「スタッフ全員がとても熱心で、応援してくれています。そういう現場ですから、とても長い時間の撮影になっても素晴らしいんです。例えば、月曜日にはみんなのところに行って“ハッピーマンデー”といって、一週間のスタートを切るのが日課になっていました。撮影現場でそういう雰囲気に包まれるのはいいことですよね」と語る。

なお、彼らが撮影している段階からVFXチームはすでに作業に入っていた。というのも、通常の映画は撮影が終わってからVFXの作業がスタートするが、本作では最先端の技術を駆使して、原作やアニメーションのスタイルに忠実でありながら、斬新な映像づくりを目指したからだ。VFXやアニメーションの経験が豊富なバギンスキー監督と、DNEGの精鋭たち、さらに長年に渡ってアニメーションを手がけてきた東映アニメーションのスタッフは、膨大な時間・労力・アイデアを投じて撮影前から準備を重ね、これまでにないVFX映像を創出。原作のファンを納得させるのと同時に、どのアクション大作でも観たことのない映像が誕生した。

劇中で聖闘士セイントは激しいバトルを繰り広げるが、その根底には“小宇宙コスモ”がある。単に腕力や技、武器で相手を倒すのではなく、自身の内なる力を目醒めさせ、小宇宙を燃やして拳を交える。このアクションをどうやって実写化するのか?そこでチームに『6アンダーグラウンド』や『シャン・チー/テン・リングスの伝説』でスタント・コーディネーターを務めた才人アンディ・チャンが加わった。香港出身でシリーズのファンだった彼は「聖闘士星矢のアニメを観て育った」という。

「どのキャラクターもそれぞれ特徴的な動きやスタイルを持っていました。この映画では、アニメの戦闘スタイルを実写で信じられるようにすること、そして映画を観た子供たちが各キャラクターの戦闘スタイルを思い出し、覚えてくれるようなユニークなものにすることを目標にしました。動きは伝統的な武術をベースに正しい形を選び、“小宇宙”パワーのコンセプトと融合させることに取り組みました」

新田真剣佑、ディエゴ・ティノコ、ニック・スタールらは撮影が始まる前から入念なトレーニングを行い、長時間に渡る特訓が課せられた。さらに劇中ではアルマンの執事マイロックを演じるマーク・ダカスコスが銃撃アクション、近接格闘、アクロバットが融合した新しいファイトスタイルを見せてくれる。中でも真剣佑のアクションはアンディらアクションチームを驚かせたという。

「彼のすごさはこれまでの作品で知っていました。私はこれまでにジャッキー・チェンやドウェイン・ジョンソンなど、多くのアクションスターと仕事をしてきましたが、真剣佑は最高峰に位置すると思います。彼は若いですが、すでに多くの経験を持っていますし、そもそも彼は父である世界のアクションスター・千葉真一さんのもとで育ったのです。才能も技術も規律もすべてが揃っている。絶対的に優れた俳優だと言えます」

本シリーズの“アイコン”とも呼べるのが、聖闘士が身につける“聖衣”だ。聖闘士それぞれの守護星座をかたどったオブジェでありながら、それらは分解・変形して聖闘士の身を守る防具になる。これまでに聖衣を再現した玩具が多く発売されてきたが、本作に登場する聖衣は俳優が着用し、さらに熾烈なアクションをこなさなければならない。

「アニメーションのキャラクターと俳優では、体格が大きく異なります」とバギンスキーは説明する。「アニメーションの美学を普通の人間、もちろん、真剣佑の身体は普通の人間ではないですが(笑)、彼らに合わせようとすると必ず何かが足りなくなるのです。俳優の身体はサイズも形も一人ひとり違いますし、聖衣のメカニズムも紙の上では美しくデザインできますが、今回は最終的にそのデザインを俳優が着て、動けるようにする必要があるのです」

そこで『ヘラクレス』や『ブレードランナー 2049』などにも参加したデザイナー、ゲルゲイ・カタイがプロジェクトに招かれた。彼は漫画やアニメーションを徹底的に研究するところから作業を始めたという。

「聖衣は、古代ヨーロッパ風の鎧がベースになっています。これは日本や中国の鎧とはまったく違うもので、動きの幅が広がります。しかし、ヨーロッパの鎧を着てカンフーの練習をするわけではありません。私たちの目標は、古代ヨーロッパ風の鎧を作りながら、俳優が武術を行えるようにすることでした。

そこでまず、紙でプロトタイプを作り、可動性や聖衣の各パーツにかかる圧(テンション)を確認しました。その後、厚紙と重い発泡スチロールで試作品をつくり、それを基に各パーツを造形して実際の鋼鉄アーマーを鍛造しました。最終的には、金属のように見えるけど、金属よりもはるかに軽い特殊なポリウレア素材を使って、スチールアーマーを再現しました。

星矢の聖衣は、ヨーロッパ式のプレートアーマーの一種で、非常に複雑な構造をしており、20以上のパーツがつながっていて、動きができるようになっています。ファンタジーの鎧を、動きのある本物の鎧にすることが最大の難関でした。そのため、経験豊富な鍛冶屋と協力して解決しました。もちろん、すべての鎧を俳優の体に合わせて調整する必要がありました。このプロジェクトは、俳優の3Dボディスキャンを受け取るところから始まりました。甲冑は第二の皮膚のようなものなので、寸法、特に関節の部分を非常に正確に計測する必要があったのです。

最も複雑だったのはフェニックスの聖衣で、全身の約85%を覆っています。ここでも、本物の甲冑のような伝統的な部位や関節と、コンセプトデザインのファンタジックな外観を組み合わせなければなりませんでした。また、ポリウレアで作るには時間がかかりすぎるため、アルミで作ることにしました。一般的な鋼鉄製のフルプレートアーマーは42キロの重さがあるのですが、アルミ製は15キロで済みます。決して軽いとは言えませんが、過度な負担をかけずにアクションができるようになりました」

とは言え、完成した鳳凰星座フェニックスの聖衣は約8キロ。ネロ役のディエゴ・ティノコは「撮影現場では毎日が全身運動のようなものでしたが、とても楽しい時間を過ごすことができました」と笑う。

劇中にはVFXによって描かれている表現もあるが、本作に登場するバトルの多くは監督曰く「本物の聖衣を着た本物の人間同士の戦い」だ。「漫画の原点を尊重しつつ、実写で信憑性のある聖衣を作りたい。それが私たちの願いだったのです」